無料版 Google Workspace Essentials Starter は使えるのか?

企業向けGoogleサービスはプランがたくさんあってよくわかりません

個人向けのGoogleサービスでもかなり充実した内容ですが、小規模事業者さんでは数人の従業員でデータ共有をするのに月額一人1,000円ちょっととなると、やはり考えてしまいますよね

個人用GoogleアカウントでもGoogleドライブを他のGoogleアカウントと共有することは可能ですが、普段使っているスマホなどのプライベート用アカウントで職場の人とデータ共有するというのは抵抗があります

いわゆるシャドーITの問題やITリテラシーの低い従業員のデータ漏洩(操作ミスで一般公開になってしまう)の問題も出てきます

そんな状況を踏まえてGoogleでは小規模事業者向けの特殊なプランを提供しています

それが Google Workspace Essentials Starter というプランになります

Essentials Starter でなにができる?

Google Workspace Essentials はほかのプランや個人向けサービスとも異なっています。一番大きなちがいは、登録の際にGmailアドレスが使えないということです

この時点で、会社のアドレスを取得していなければ利用できないと思いがちですが、フリーアドレスでなければよいので、OCNやBIGLOBEなどのプロバイダのメールアドレスでも登録できるようです

Essentials にもプランがあり、今回テストしたのは Essentials Starter で料金は発生しない無償版となっています

2023年9月の時点で
登録できるユーザー数は100人
利用容量15GB/1ユーザー

無償版で使えるサービスは

  • Googleドライブ
  • Meet(ビデオ会議)最大100人まで60分
  • Chat(チャット)
  • Jamboard
  • ToDoリスト
  • カレンダー
  • ディレクトリ管理(ユーザーのサービス利用制限などの設定)
  • Googleサイト
  • Keep(メモ帳アプリ)

となります

EXCELやWORD、スプレッドシートなどで作ったファイルの共有はサイズも小さいので、このプランで十分ですね。

サービス利用の登録作業

Essentials Starter に登録するのは簡単です。まずはGmail以外のメールアドレスとそこに届くメールを見ることができるメールソフトを準備します

Googleで「Google Workspace Essentials Starter」を検索すると出てくるサイトからアカウント作成を試みました


右上の「アカウントを作成」をクリックすると


404エラーがでました!なぜかリンク切れです。フィッシングサイトかと思いましたが本物ですね

再度検索してちゃんとした登録サイトを見つけました

https://workspace.google.com/essentials/signup/verify/emailstart

まずは用意したメールアドレスを入力して「次へ」をクリックします


入力したメールアドレス宛に確認メールが届きますのでメールソフトでメッセージを確認します。本文の「メールアドレスの確認」をクリックします。なお、画面はGmailですが、会社アドレスをGmailで閲覧できるように設定しているため、本来はOutlookやThunderbirdなどのメールソフトで受信するようになります


アカウント情報を入力し「次へ」をクリックします


プロジェクト名などはここでも変更できますが、とりあえず「同意して続行」をクリックします


メール通知受取の有無の確認ですが、不要な場合は、トグルボタンをオフにして「アカウント作成」をクリックします


Google側でアカウント登録作業をします。ちょっと待ちます


完了するとダッシュボード画面が表示されますが、Chromeの場合は別のプロファイルを作成する画面が表示されますので「OK」をクリックして、別プロファイルを作ります

同じプロファイルで個人用GoogleアカウントとEssentials用アカウントを使ってしまうと混乱のもとになりますので、分けて使うことをお勧めします


別プロファイルができると、そちらの画面に先ほどのダッシュボードが表示されます。Chromeの設定がありますので、画面の指示に従ってChromeの初期設定を行います


登録作業はこれで完了です。メールで確認コードを見る部分だけが面倒ですが、それ以外は悩むことなく簡単に登録できますね

ちなみに、登録時にGmailのアドレスを入力すると弾かれてしまいます


OCNのメールアドレスは登録できました

Googleドライブをつかってみる

早速Googleドライブを使ってみます。個人用と変わりませんので、右上のGoogleアプリアイコンからGoogleドライブを開きます


初めて使う状態なのでこのような画面になりますが、個人用と同じように、スプレッドシートを新規作成してみます


操作方法は変わりませんので新規作成します


当たり前ですが、そのままマイドライブへ保存されます


ちなみに、このファイルを外部のアカウントに共有しようとすると警告メッセージが表示されます。外部共有についてはGWSの管理者側で設定可能ですが、本プランでは外部共有を制限する機能がないので、警告は表示されますが、設定することは可能です

ユーザーを招待する

一人で使うものではないので、チームへユーザーを招待します。テストなので、招待された側のユーザーの操作方法も見てみます

招待はダッシュボードから行いますが、ダッシュボードのリンクが見当たりません。探していると、Googleドライブの左下にリンクがありました


ダッシュボードの左上にある「招待」をクリックします


招待したいメールアドレスを入力し「追加」をクリックします


まとめて招待できるようで、さらにメールアドレスを入力する画面が表示されますが、不要な場合はそのまま「送信」をクリックします


招待されたアドレス宛にメールが届きますので、本文内の「登録して参加する」をクリックします


確認コードをメールで送信されるので再度メールを確認し、確認コードをコピーして貼り付け、「所有権を証明」をクリックします


組織への参加画面が表示されますので、氏名とパスワードを入力し「同意してアカウントを作成」をクリックします


Google側でアカウント登録作業が完了するとログイン画面が表示されますので通常のGoogleログイン同様に進みます


新しいアカウントへようこそ画面が表示されますので「理解しました」をクリックします


ここでもChromeのプロファイルを作るかどうかの画面が表示されますので「OK」をクリックし、新プロファイルを作成します


新しく作成されたプロファイルにダッシュボードが表示され、利用可能になります


ChormeでGoogleドライブを開きますが、管理者ではないので左下にダッシュボードが表示されません


管理者と違って画面もかなりすっきりしていますね

ファイルの共有

ユーザーが2名になりましたので、ファイルを共有してみます。先ほど外部ユーザーへの共有は警告がでましたが、チーム内での共有なら警告は出ません


管理者のGoogleドライブでは左下に共有ストレージの使用量が表示されています。上限15GBとなっているのですが、2人なら30GBなのかと思っていましたが、どうやら共有できるサイズは15GBなのでしょうか?


ダッシュボードを見るとチームストレージということで30GBになっていました。1ユーザー15GB、チームで共有できるサイズは15GBの人数倍した値になっています。


試しにダミーファイルを共有なしでドライブに放り込んで確認してみます。招待された側のドライブに1GBのファイルを3つ放り込みました


保存容量は3GB / 15GBとなってますね。まだ共有はかけていません。この状態でチームストレージを見るとどうなってるんでしょう?


使用量が3GBになってました。ということは、共有するしないにかかわらず、チーム内で使った分がそのまま加算されるということのようです

ということは、数人のメンバーがいて、ファイルの所有率が偏ってしまっている場合、例えばテンプレートになっているファイルを管理者が毎回作成して共有フォルダに保存していると、オーナーは管理者になるため、管理者の所有率が高くなってしまいます

チーム内でファイルのオーナー移譲をして均衡化を図れば、ユーザー数分のストレージ容量が確保できますのでそれなりに使えるようですね

GWS管理コンソールも使える

個人向けではなく、無料版とはいえちゃんとした Google Workspace なので管理コンソールも使えます。管理者はGoogleアプリアイコン内の「管理」をクリックするとGoogle Adminにアクセスできます


機能はかなり少ないですが、組織ごとにサービスの利用制限をかけたりすることも可能です。

同じアカウントで複数のチームに入れるか

社外の協力者、取引先と共同で使いたい場合にチームへの招待をしたいことがありますよね。すでにどこかのチームに所属しているユーザーを招待することは可能かどうか検証してみます

新たに1つ Essentials Starter を作って、先ほど使った検証用ユーザー(すでにチーム参加状態)を招待してみます


やはりだめなようですね。すでにどこかに所属しているとエラーが出てしまいます


無償版ですが立派なGWSのプランなので複数のチームへは参加できないようですね。あくまでも社内専用の共有フォルダであり、外部から使いたいという場合は、組織外のユーザー追加で対応する形になります

個人用とは違って多少はユーザーの管理ができるので良いかもしれません

無償版の懸念点

本プランは2022年2月にサービス開始したばかりで、どうなるかわからない点が怖いですね。

使えるのは良いのですが、無償版はいつか有料版に代わる可能性や Essentials というプランが特殊なので、それ自体がなくなる可能性もないわけではありません

無料というのは、長期的に使うのはちょっと心配ですが、期間限定や短期、重要性が低い案件でしたら良いかもしれません

そのあたり、長期的に考えたときに、サービス終了となった場合の回避策は検討しておいたほうが良いですね。幸い個人向けサービスと同じ15GBの容量なので、新規で個人用アカウントを作成してGoogleドライブのオーナーを移譲してしまえば、データがなくなることはありません

検証してみた結果どうだったか

データ共有という観点から、チームを作って管理ができる点は良いと思います。ただし、外部アカウントとも共有できることなどを考えると、個人用アカウントを使うのとは変わりはないような気もします

プライベートとビジネスでアカウントを変えないと混乱する場合は良いのですが、やはりGmailが使えないので、メールチェックは別のプロファイルかメールソフトになるというのが面倒ですね

自身の環境では、会社メールなど複数のメールアドレスをGmailへ集約してしまっているので、メールはメインプロファイル、ドライブは Essentials 用プロファイルと分けるのはちょっとしんどいなと思いました

もともと、会社勤めのころ、GWSだったので同じように個人と会社でプロファイルを分けて使っていましたので、元に戻るだけといえばそれまでなのですが。。。

個人事業主用のプランがある

ちなみに個人事業主にちょうど良い Google Workspace Individual も興味があり、月額千円ちょっとで1TBのストレージとGoogleカレンダーを使っての簡易予約システムが使えたりMeetが長時間対応になったりするので Zoom を契約するよりはかなりお得なプランになっていますね

今は100GBストレージを毎月250円で使っていますが、オンラインミーティングも増えているので、ちょっとアップグレードしようかなと思っています

MS365とGWSの両方入る必要ってあるの?って遠くから囁かれています。。。

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